「白い巨塔」をみれば医学部の黒い内情がわかる(後編)


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山崎豊子原作の「白い巨塔」は、一般人には覗くことができない医学部の内情を、かなり忠実に再現したドラマです。

白い巨塔 [DVD]

ドラマは第一部と第二部にわけられ、第一部は財前助教授が教授選に勝利するまでの話、第二部は財前教授の医療過誤裁判の話です。

どちらもかなり見応えがあります。

↓第一部の解説記事はこちらからどうぞ。

www.costcogogo.com

今回は第二部について解説記事を書いてみたいとおもいます。

 

術後肺炎について

財前教授が佐々木庸平をオペしたのち、佐々木さんの容態が急変したとき「術後肺炎」と診断し抗生剤の投与を行いました。

この「術後肺炎」とは、外科手術などで体力を消耗し、免疫力が下がった患者さんが起こす合併症です。

 抗生剤の投与で治療します。

 

大学病院は縦割りで各科の連携が悪い

佐々木さんの容態の急変を見て、里見先生は「術後肺炎」ではなく「癌性リンパ管症」を疑って外科の医局員に検査をするよう指示しましたが、柳原先生は「外科で処置しますので」と里見先生を無視しました。

このような例は少なくなく、大学病院の各科は縦割りで物凄く風通しが悪く、しかもわけのわからない見栄の張り合いで争っています。

患者にとって違う科の医者同士が連携してくれたらスムーズに治療が進む場合でも、連携が悪いため治療が上手くいかないことがあります。

古い風習がまかり通る医学部では、患者のために組織改革などを推し進める医者など皆無に等しく、医療サービス向上がしにくいのが現実です。

 

教授が手術しても、術後は教授でなく下っ端が担当になる

 財前教授が佐々木庸平の食道がんの手術をしましたが、その後の急変や合併症が起こった時は教授でなく別の医局員が担当します。

なので、教授の手術に疑問を抱いても直接質問する機会は滅多になく、しかも医局員は教授の落ち度については話すことができないので、患者は諦めるしかなく、大変可哀想なことになります。

 

癌性リンパ管症とは

がん細胞がリンパ管に入り込み、リンパ液が詰まってしまうことをいいます。これが肺に起きた場合、呼吸困難や胸水などの重篤な症状を引き起こします。

末期ガンに起こることが多く、予後は不良で治療は対処療法しかありません。

 

 佐々木陽平はなぜ死んだのか

財前教授は佐々木庸平の食道がん手術をしましたが、結果的に肺にある影を「炎症性変化」であると診断し、肺への癌の転移を見落としてしまいました。

手術によって転移した肺がんのがん細胞がリンパ管に詰まり、癌性リンパ管症を引き起こし死亡したものと考えられます。

 

財前教授が手術をしなければ佐々木庸平は死なずに済んだのか

食道がんで肺への転移がある場合、オペの有効性は下がり、抗がん剤治療や放射線治療などが優先されます。

佐々木庸平さんの死は免れなかったでしょうが、少なくとも肺への転移をきちんと確認していれば、癌性リンパ管症で急変することはなかったと考えられます。

 

アウシュビッツとは

財前教授が国際外科学会に招かれたとき「アウシュビッツ」に行くシーンがありました。

アウシュビッツポーランドにある世界遺産で、ナチスによるユダヤ人大量虐殺が行われた収容所です。

 

病理解剖とは

亡くなった患者に対して、診断が的確であったか、治療は効果的であったか、直接の死因は何であったか、などを解明するために行われる解剖です。

病理解剖ができる病院は限られますが、治療や死因に疑問を持ったときは病理解剖を早めにお願いしましょう。

遺体を病院からも出してしまうとなかなか難しくなります。

 

医療過誤裁判を起こすなら

医療裁判は、密室の事故が多いことや、証拠となるカルテなどが病院側に全て握られていることや、医療の高度専門知識が必要となることから、ハードルの高い裁判となります。

裁判を考えるなら、まず一刻も早く証拠保全に取り掛かりましょう。

医者の話を録音する、その日あったことを詳細にメモする、カルテ開示をあらかじめ請求する、などです。証拠が多ければ多いほど、裁判は有利になります。

そして1番に大事なことは、医療裁判を得意とする有能な弁護士に依頼することです。弁護士の得意分野や実績は、素人にはなかなか調べづらいのですが、地道に探しましょう。弁護士もピンからキリまで、いろいろいます。裁判に勝ちたいなら、弁護士選びは重要です。

 

 医者と弁護士

医者はすべての職業の頂点に立っていると勘違いしがちの人も多いのですが、有能敏腕弁護士の言うことは素直に聞く医者はまぁまぁいます。

 

カルテの改ざんは可能か?

昔は紙のカルテだったので、修正液で消したり書き直したり、改竄はよくなされていたようです。

今は電子カルテになっているので改竄はできないかというと、そんなことはありません。

電子カルテでも、一度保存したものでも何回も書き直し可能なので、むしろ紙より改竄しやすいのではないかと個人的に感じます。

 

医療裁判は救われない裁判か?

医療裁判の勝訴率は一般的に低いと言われています。年月も長くかかり、一個人が大きな病院組織を相手取って裁判を起こすのはとても勇気のいることかもしれません。

しかし、納得できないのなら、泣き寝入りせず裁判で戦いましょう。たとえ勝訴しなくても訴えられた病院のダメージは大きく、病院側の意識を変えるきっかけになります。

 

胸膜播種とは

財前教授は肺がんのステージIの診断だったので、東前教授が開胸しましたが、胸膜播種が見つかりステージ4となりそのまま閉じました。

胸膜とは肺全体を覆っている膜のことで、ここに転移があると末期ガンになります。

いろんな感想があると思いますが、財前教授の最後は「自分の遺体を医療の発展のため解剖して役立ててほしい」との遺言を遺して解剖室に運ばれるシーンで終了し、個人的には立派な態度であったなと感じました。

 

 白い巨塔は名作です。見てない人は是非見てほしいと思います。唐沢寿明主演の方でなく、田宮二郎主演のドラマも根強い人気があります。

白い巨塔 第一部

白い巨塔 DVD-BOX 第一部

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 ↓白い巨塔 第二部

白い巨塔 DVD-BOX 第二部

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 ↓山崎豊子原作も、是非読んでみるべき。

山崎豊子 白い巨塔 全5巻セット (新潮文庫)

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いろいろな医療ドラマがありますが、白い巨塔ほど医学部を忠実に再現したドラマはありません。山崎豊子さんの取材力、作家、あるいはジャーナリストとしての才能は本当に素晴らしいと思います。

※以上は自らの視点からの意見が多く含まれており、すべてが正しいとは限りません。

最後までお読みくださりありがとうございました。

 
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