乳がんは癌の中でも比較的5年生存率が高い疾患です。しかし小林麻央さんの乳がんが 骨転移、肺転移の段階であるときいて少々驚きました。
なぜあんなに若くて綺麗な女性が乳がんを罹患してしまうのでしょうか?その原因を探ってみました。
麻央さんの乳がんは遺伝子の突然変異が関係している?
麻央さんのお母さまが乳がんを発症され、麻央さん自身も乳がんになったことから、乳がんの原因 はBRCA 遺伝子の突然変異だった可能性があります。
(※その後麻央さんのブログでBRCA遺伝子検査の結果は陰性であったとご報告されました)
BRCA遺伝子とは乳がんを抑制する遺伝子です。BRCA遺伝子が変異すると遺伝子が不安定になり、最終的に乳がんや卵巣がんを引き起こしてしまいます。
乳がんの患者さんのうち約5〜10%にBRCA遺伝子に突然変異がみられます。第1近親者がBRCA遺伝子を保有している場合、乳がんの発症リスクは50〜85%まで上がります。
(母、姉妹、娘=第1近親者)
第1近親者に2人以上乳がんを発症した方がいると、BRCA遺伝子を持っている可能性が高くなります。
麻央さんとお母さまが乳がんを発症されたことで、姉の麻耶さんも乳がんになる可能性が高いかというと、「確率的」には「高い」ということになります。この場合はBRCA遺伝子検査の対象になります。
BRCA遺伝子がんに変異がある場合、がんが発症する可能性のある乳腺を、あらかじめ切除することで発症のリスクを抑える手術が「予防的乳房切除術」です。
乳房を切除することで、遺伝性乳がんの発症リスクを約90%低下させることができます。
この手術は、ハリウッド女優のアンジェリーナジョリーさんが受けたことで有名になりました。日本では、予防的に乳房を切除するというのはまだメジャーではありません。
自分がBRCA遺伝子保持者の可能性がある場合、まずはしっかりとした遺伝子カウンセリングを受けることが大事です。
👇遺伝子カウンセリングを実施している医療機関一覧
乳がんのステージはTMN分類によって決定される
乳がんのステージは一般的に「TMN分類」で決定されます。
T=がんの深さ
M=遠隔転移
N=リンパ節転移
「T1M1N1」の場合、がんの深さは段階1、遠隔転移は1個、リンパ節転移1個ということになります。
出典:メルクマニュアル
麻央さんはブログで、自身の乳がんが肺や骨に転移していることを明らかにされました。これは遠隔転移が少なくとも2個あることになり、「ステージ4」の段階になります。
乳がんの治療はまず外科手術
乳がんの患者さんの多くは、外科的切除が治療の第1選択肢になります。手術に合わせて、化学療法やホルモン療法を併用することもあります。
進行がんにおいては手術はあまり有効ではありません。進行がんが発覚して手術で取りきれない場合、(がんが5㎝以上や遠隔転移がある場合)抗がん剤療法またはホルモン療法を開始します。
手術でがんを取った後に抗がん剤治療やホルモン治療を行った場合、ほぼ全ての患者さんで再発を遅らせることができます。また、一部の患者さんでは延命が期待できます。
麻央さんは乳がん発覚時、手術が不可能だったと市川海老蔵さんが会見で言っていることから、がんが手術で取りきれないほど大きくなっていた可能性があります。その場合は抗がん剤やホルモン治療でがんを小さくしてから手術を行う選択がとられます。
麻央さんが未だに手術に至ってないことから、がんの増殖を抑えきれなかったか、治療経過中に遠隔転移が見つかり外科手術の有効性が薄れたことなどが考えられます。
転移がある場合、QOLを高めるために毒性の強い抗ガン剤が治療に使われます。しかし延命効果は3〜6カ月です。治療を受けるかどうかの決定は、個人的な判断によって決定されることが多いようです。
麻央さんに投与されている「タキソール」はタキサン系抗がん剤「パクリタキセル」のことで、主に転移性のがんに対して使われます。
タキソールは細胞が分裂するときに発生する「微小管」の働きを阻止します。がん細胞の増殖を抑えますが、正常細胞の微小管の働きも抑えてしまうため、重篤な副作用が生じます。脱毛や指のしびれは抗がん剤による副作用です。
乳がんの予後
乳がんの予後は,リンパ節転移の程度、原発腫瘍の大きさ、悪性度、病期、患者さんの年齢などにより決定されます。
リンパ節の状態は、他の予後因子よりも最も予後に関係します。リンパ節転移がない患者さんは生存率が70%を超えますが、リンパ節転移があると約25%まで下がります。
腫瘍が大きいほどリンパ節転移の可能性が高くなり、予後不良となります。
麻央さんの今後と周囲の態度について
病気を公に告白するというのはつらいものです。麻央さんが自身の病気の実情を綴ってくれたことにより、その勇気に助けられた人も多いでしょう。
転移が発覚したことから、海老蔵さんの言う通り「非常に厳しい」段階であると思います。その状況は、御本人やその家族も承知されていることがブログから伺えます。
今後は日常生活を周囲が支えつつ、治療の成功を願い、配慮した姿勢を持つことが大事だと思います。